1 年ほど前、NHKのジオジャパンを観て、とても楽しかったので、たよりの山行計画で目にした山陰海岸ジオパークは、世界ジオパークに認定されているということで、調べてみることにしました。日本で世界ジオパークに認定されているのは現在9か所で、洞爺湖有珠山・アポイ岳・糸魚川・隠岐・山陰海岸・室戸・島原半島・阿蘇・伊豆半島が対象となっています。ジオパークは大地(ジオ)を基盤にしていますが、その上の植生・歴史・民俗など諸々の人間生活をまとめ、それらを保護するとともに、広く啓蒙活動を行い、地域おこしを目指しています。山陰海岸ジオパークは、平成20 年に日本ジオパークとなり、その後平成22 年から世界ジオパークへの加盟を認定されています。エリアは、京都府、兵庫県、鳥取にまたがり、東西約120キロメートル、面積は東京都よりひとまわり大きい広さになるそうで
す。浦富海岸は花崗岩と凝灰岩を流紋岩脈が貫いていて、それが浸食され、断崖、洞門となって変化に富んでいるところです。花崗岩は日本海形成前の大陸の時代のもので、ひとつずつ紐解いていくと日本列島の成立ちを理解でき
るという視点で見ると面白いなあと思います。今回は、浦富海岸島めぐり遊覧船乗り場駐車場から浦富海岸西コースを歩く計画でした。当日は以前から天気
予報では雨でした。その日が近づくにつれ予報が変わらないかしらと思っていましたが、予報どおり当日はあいにくの雨。数日前に届いた山行計画の中には美術館に行くというスケジュールもあり、リーダーの配慮を感じました。5 時に酒津公園に集合し、6 人で一台の車に乗合せ出発しました。遊覧船乗り場に到着した時は雨足が強くなり、どうなることがと思いましたが、身支度を整えていると雨も小降りになり、元気に出発しました。海沿いに歩いた後、網代の集落に入りました。細い路地の両脇に立ち並ぶ家々の玄関先には、なぜか足のマークが書かれています。先に進んでも同様で、どういう意味があるのだろうと思いました。集落を通過すると山に向かう車道になります。閉校した小学校跡があり木造体育館が残されていて歴史を感じました。さらに坂を上がると登山道が脇に見えました。そこには浦富アルプスという看板がありました。興味はあるものの少しのぞき込んだだけで、藪が茂っているように見え、雨も降っているので先を急ぎました。その後も何回か看板が出てきて、浦富槍などという名前もありどんなコースなのかと話題になりました。山を回り込むように車道を進むと海岸が見えてきました。鴨ヶ磯、そして城原海岸まで車道を歩き、城原海岸に降りました。そこは浜が広がっていて、北側に菜種五島が見えました。その名の通り4 月中旬になると菜の花が咲き誇るそうです。その昔、北前船が近くで座礁したそうでそれ以来咲くようになったとのことです。海は透明度も高くシュノーケリングなどのスポットで、浜に立って海をみると爽やかな気持ちになりました。ここから遊歩道を通り網代に戻りました。片道3 キロもないのですが、浜が切れるか所で階段を上がり、浜が出てくると階段を降りるという連続で、観光のつもりで行って歩くと厳しいのではと思いました。浜にはゴミが多くうちあげられていましたが、それ以外は眺望もよくてお天気がよければ海や空の色も変わり、岩や緑の色彩も鮮やかでもっと素敵に感じることが
できただろうと残念でした。網代に戻ると遊覧船乗り場の中にあるあじろやで食事をして、温泉に向かいました。砂丘温泉ふれあい会館のお風呂は内湯だけですが、目の前に砂丘が広がり眺望は抜群です。お湯もとろりとした良いお湯
でした。お風呂の後は砂の美術館です。「砂で世界旅行・北欧編」の展示中でした。巨大な砂の芸術、それでいて緻密。切り込む角度から城原海岸雨が降っても展望は良し鳥取の海の幸を満喫立体感・奥行を表現しています。サンタクロース・マッチ売りの少女・人魚姫・ニルスの冒険・ニーベルングの指輪など
など、それぞれの見どころがあり感じ方も人それぞれと思いますが、私は人魚姫がとても美しい作品に感じられました。童話といってもかわいらしいだけではなく大人も満足できる作品だったと思います。そして美術館の後に、さらに砂丘や道の駅に立ち寄り、鳥取を満喫して私たちは岡山へと帰りました。帰った日にネットニュースで、山陰海岸のジオパークが昨秋の日本ジオパークの再審査でイエローカードとなり、この夏の世界ジオパークの再審査の結果によっては、取り消しが危惧されているという記事を見ました。3 府県や関係市町の連携不足がその理由だそうです。私もですが日本人は自然景観を情緒的・感覚に見ていることが多いそうで、日本だからこそ見ることのできる風景を、その形成された要因から理解できる機会を与えてくれるこのような場所が魅力を深めて継がれていくといいなと思います。お天気には恵まれませんでしたが、充実した楽しい休日を山の会のみなさんと過ごすことができました。ありがとうございました。