山の日。山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝することを趣旨として制定され、今年から祝日となりました。山の恩恵・・山は雨水を蓄えることで、生命に欠かせない水が私たちのもとに届くまでの循環の中で、大きな役割を果たしているなあ。そういえば、山岳信仰という精神もあるよね。日本をはじめ世界のいくつかの国々で創られている。「山のあなたの空遠く、幸い住むと人のいう」この言葉が日本の山岳信仰の精神に近い表現だという文書を読んだことがある。イメージとして伝わるものが確かにある。こういった精神性に加えて、自然の織りなす風景に神秘的なものを感じるからかもしれない。夏合宿の目的地「槍・穂高連峰」と「白峰三山」の地質や山岳の成り立ちが、「山と渓谷」で紹介されていたけれど、山の生態について知ることは、私たちが住む日本という国土の理解にもつながるんだろうな。山の日にあらためて少し考えてみました。頂上までのルートがいくつもあるように、山の見方、感じ方もさまざまですね。さて、この山の日の翌日12日から15日にかけて、今年の夏合宿に参加してきました。目指す場所は北穂高岳と涸沢岳。ふたつとも日本の高い山トップ10に入る山です。12日の夜に酒津公園を出発して、13日にあかんだな駐車場に到着。上高地から涸沢に入る。14日に登って、15日に下山して岡山へ帰るという日程でした。参加者はSリーダーを含めて6名です。14日の朝3時に起床し、4時出発を目指します。朝ご飯を食べて、涸沢ヒュッテのテラス前に集合し、薄明るくなるころ出発となりました。北穂高岳の南稜を登り、涸沢岳へ縦走して、穂高岳山荘からザイテングラードを経て涸沢まで帰るというのが予定のコースです。標高が上ると視界が広がり、涸沢のカラフルなテント群が眼下に見え、前穂高岳が目の前に迫ります。お天気もよくてワクワクする気持ちも高まり、あっという間に北穂高岳のテント場に到着。そして、テント場から20分ほどで頂上とその直下にある北穂山荘に着きました。頂上からは槍ヶ岳や笠ヶ岳、双六岳、三俣蓮華岳や薬師岳、黒部五郎岳に水晶岳など見渡すことができました。特に正面に見える槍ヶ岳は、大キレットのむこうに、青空の下はっきりとその存在感を示していました。しばらく山荘で休憩しましたが、山荘おすすめのコーヒーを北アルプスの山を見ながら飲むことができて最高においしかったです。その後、涸沢岳に向けて出発。岩場のアップダウンが続くハードなルートと聞いていたので、緊張感がぐんぐんと高まる上に、鎖やはしごの連続で足元が切り立った高度感のある箇所もあり、どう登ろうか(下ろうか)しっかり考えるので疲れるけれど、ゆっくり慎重に進んでくれて、三点確保を心掛け落ち着いて歩くことができました。また、道を外れると浮石が多く、少し間隔を空けて進みました。穂高岳山荘側から来る人も少なくはなく、すれ違いに気を遣いあいながら進み、最後の鎖と鉄杭が連続する登りでは、ひたすら黙々と集中して登っていたように思います。休憩する場所も少なくて、結局、予定の時間よりずいぶん前に涸沢岳の頂上へ到着しました。時間があまったので、奥穂高岳にも行こうという話になり、穂高岳山荘で休憩したのちに出発。午後からお天気が崩れる予報だったため急ぎ足で頂上へ進みました(そういえば北穂山頂手前で雷鳥にも遭遇していた!)。頂上手前ではジャンダルムがすぐ近くに見えて圧倒された後、奥穂高岳頂上でみんなでワイワイ記念撮影を済ませました。「倉敷山の会。遠くから来ているのね。」と周りから声もかかります。その後は、みんな元気にザイテングラードから涸沢まで走るように下りました。私は顔を真っ赤にして着いていくのに必死でした。今回の山行には、参加を迷うこともありましたが、北穂高岳から奥穂高岳までは慎重にペース配分をしてくださり、無理をすることもなくしっかり登ることができました。そして、それ以外では走るように歩みを進め、「合宿」という名がふさわしいかもと思わせられもしました(笑)。涸沢から見上げる山々の大半を歩くことができたし、お天気も最終日まで歩いている最中に雨に降られることもなく、本当に恵まれた山行だったと思います。佐伯リーダーとメンバーに感謝!あれから半月。最近、朝の空が、夏と秋がまざったような優しい色になってきたことに気付きました。ピンク色に染まる雲が川に映って本当にきれいなんです。そんな風景をみながら、穂高のモルゲンロートを思い出す日々です。