石鎚山の登山口でもある土小屋から出発。登山口をスタートしてすぐの分岐を左に折れて、まずは岩黒山を目指しました。少し標高を上げると、ダケカンバの林になります。ダケカンバ(岳樺)はシラカバ(白樺)に似ていますが、シラカバよりも標高の高いところに生育する樹木です。北アルプスでは一般的な木ですが中国地方では目にすることはなく、四国のこの辺りが分布の南限となります。ダケカンバの美しい林に明るい陽射しが差し込んで、若葉の透過光がきらめいて眩しいほどです。花の季節ですので、キョロキョロと辺りに目をやりながら登山道をゆっくりと登りました。尾根に出たところで、アケボノツツジが綺麗なピンクの愛らしい花を咲かせていました。岩黒山山頂からは四国山地が一望でき、これからゆく手箱山も望むことができました。山頂を出発しようとしたところで、「アレ?」手に持っていたはずのストックが無い!他のメンバーにはもう少しの間休憩を続けてもらい、大急ぎで前の休憩ポイントまでダッシュ。無事ストックを回収できましたが、大失態に冷や汗ダラダラでした。みなさん、すみませんでした。気を取り直して、長い稜線をひたすら下っていきます。そろそろ休憩をと思っていた頃合いに不思議な光景が目の前に現れてきました。登山道が続く林の奥に明るく広い場所が見え始め、近づくにつれてお城の石垣のような巨大な壁が忽然と現れたのです。手箱越に到着です。石垣は奥までずっと続いています。「人里離れたこんな山奥にお城?」城壁の上に上がってみると、そこには山伏の鍛練場らしき大きな建物が建っていました。しかも柵で囲われていて近づくことはできません。何とも怪しげな建物です。ここには立派なトイレがあり、見晴らしもいいので大休止としました。ここからは稜線歩きです。アップダウンを繰り返しながら、アケボノツツジやヒカゲツツジを楽しみながら歩くこと40分。手箱山山頂に到着です。休憩をはさんで来た道を戻ります。手箱越の石垣に別れを告げ、ここからは筒上山への急登が始まりました。両手も使って険しい道を登っていくと、空がどこまでも広がる天空の領域に出ました。四国らしい笹原に覆われた稜線を進んでいくと、本日の最高峰(標高1859m)筒上山山頂です。山頂には祠があり、石鎚山をはじめ四国の山稜が一望できました。数えきれないほどの頂が波のように連なっていて景色は最高です。土小屋への下山ルートはかなり荒廃していて判りにくかったです。このルートは最近ではあまり歩かれていないようでした。目的のひとつだったアケボノツツジのいい時季にも当たり、目でも楽しむことができたハイクでした。残念なことに女性陣の参加が今回は無かったので、男子会的(?)な会話の少ない山行となりましたが、5月の四国山系を楽しむことができました。