鋸岳は以前から気になっていた山ですが、さらに黒戸尾根と八丁尾根のルートを組み合わせて全て初めてづくしで揃えました。黒戸尾根は日本三大急登の一つとされる標高差2200メートルの険しいルートです。初日の尾白川の登山口から出発。しょっぱなからの登りが睡眠不足に堪えます。五合目からはさらに斜度が増し、梯子も連続で出てきます。七丈小屋に着いた時にはかなり疲労感がありましたが、まだまだ先は長い。ビールと水を補給して出発。ここからは急な岩場を登り16時に誰もいない甲斐駒ヶ岳山頂に到着。ガスで展望はありません。しかしあまりノンビリは出来ません。さらに1時間歩き今夜の宿泊場所である六合石室に到着しました。小屋には4名の先着者がいてすでに寝ようとしていて申し訳なかったですが、場所を空けてもらい寝床を確保。食事をしてお酒を飲むとすぐに寝ました。夜中に時々屋根を強く雨がたたく音がひびき何度も目が覚めました。翌朝起きてどうするかとなりましたが、雨は止んでいるようなので予定通り出発しました。別パーティの4名は天気が悪いので鋸はあきらめ引き返すとの事。挨拶して先に出発します。外が雨は降っていませんが、ガスで遠方は視界不良です。三頭分岐までは樹林帯をトラバース気味に進みますが踏み跡が錯綜しルートロスト。どうにか登山道に出たものの進む方向を間違えて烏帽子岳まで行ってしまいました。しかたないのでここに荷物をデポしてサブザックで出発します。ここからいよいよ鋸の名の通りの激しいアップダウンが続きます。熊ノ沢の頭を巻き急下降すると中ノ川乗越、そこから第2高点まで見上げるような急なガレを登ります。どう登るかと思う所ですが、右側にジグザグのルートがあります。落石を起こさないように登り第2高点に到着。さらに樹林帯を急下降すると大ギャップルンゼ、ガレたバンドを登り鹿ノ窓ルンゼへ移動します。見上げると上部に穴が見えます。ここは右岸の踏み跡をたどり鹿ノ窓につけられた鎖の下まで行けます。足場は乏しいので腕力で登り切ります。鹿ノ窓をくぐるとすぐに小ギャップになります。ここも鎖を使い濡れた岩場を慎重に下って登ります。そこから少し登ると第1高点の鋸岳山頂に到着しました。無事到着して嬉しいですが、景色は見えず、雨が降って風も出てきて寒いのでゆっくりも出来ず来た道を戻ります。岩場を慎重に戻りますが、最も緊張したのは鹿ノ窓の下りです。高度感がすごい。その後は順調に進み烏帽子岳にて荷物を回収しました。ここから先は地図に載っていないルートですが、踏み跡はしっかりしているので安心して歩けましたが、緩く長いルートでした。大岩山の手前では崖を鎖・梯子・ワイヤーで登るすごい所がありましたが、登ると再び緩いルートになりました。最後のピークである日向山に着くと日が暮れて雨も激しくなってきました。川のようになった登山道をヘッデンを点けて下り、尾白の駐車場に着いた時には20時になっていました。1日で2日分歩いたような気分で疲れ切って近くの道の駅でそのまま寝て翌朝ゆっくり帰りました。ロングルートを1泊で歩くというかなり無理のある計画でしたが、無事やり遂げられて良かったです