3/22(日) タカト山(鬼ヶ島)

今シーズンは雪が少なく、標高の低い山では壊滅状態です。私は雪のない山より雪がある山の方が好きで、スキーが使えればなおよいと思っています。けれども低山ハイクが嫌いなわけではありません。珍しい花や地形がある、文化財や遺構がある、歴史上の舞台になったといった低山は興味があり、もっと年を取ったらそのような山登りをしようと以前より思っていました。今年、どうせ雪がないのなら、冬は雪山に忙しく、夏は暑くて例年は行かない山へ行こうと考え、参加しました(それもいいけど、クライミングもやれよ自分・・・)。
6時過ぎにAさん宅近くのコンビニで合流して四国に入ると、今月登った讃岐富士が見えます。四国に行くたびに目にしながらまだ登っていなかったので、いつかは登らないとと思っていた山です。一度登ってみると何となく見え方が違います。「一度は登っておかないとと思うのも富士山と一緒。」とAさん。7時過ぎに高松港に到着しました。しばらくして電車で現地集合のHさんも到着しました。フェリーで女木島に渡ります。結構乗客は多く、ハイキング、観光、釣り、何かの教室仲間か着物を着た人、法事のような服装の人などがいました。乗船時間は20分だけとはいえ、船はいつもとは違う山旅の気分にさせてくれます。
女木港には地蔵尊があります。昭和30年に女木島沖で宇高連絡船同士が衝突して沈没し、修学旅行帰りの小学生を中心に亡くなった168名の霊を合祀するものです。この事故のことは知っていましたが、この事故にまつわるものが女木島にあることは知りませんでした。確たる文献を見たことはないのですが、この事故をきっかけに全国の小中学校にプールの設置が進められ、小中学校の体育で水泳が必修となったようです。また昭和29年には津軽海峡で青函連絡船洞爺丸の沈没事故があり、瀬戸大橋や青函トンネルの建設につながったようです。この地蔵尊の横にあるモアイ像で写真撮影をして出発します。
港近くでは「オーテ」と呼ばれる家を波しぶきや季節風から守る石垣が築かれていて、沖縄のような雰囲気です。結構家は多く、新しい家もあります。ここから女木島灯台までは車道で、桜が植樹されています。少しくらいは咲いているのではと思っていましたが、まだすべて蕾でした。灯台付近では少し花がありました。ここから、今日唯一の急登です。汗が出ます。タカト山からは島ならではの開けた展望が楽しめます。稜線では一分から二分咲きといったところですが、桜、水仙、ヤマブキなどが咲いていました。高松の桜の開花予想は山行の次かその次の日ですので、来週くらい見頃でしょう。桜の木の植わり方からすると、満開のときにはフェリーから島がピンクに染まって見えるのではないかと思います。
鷲ヶ峰はすぐ下までバスが来ていて、鬼の人形があります。鷲ヶ峰の頂上付近が一番花が開いていました。頂上で展望と花を楽しみ、休憩所で団子を食べました。ここに鬼ヶ島謎の洞窟という施設があります。入場料が要るのもありますが、現在10時25分で、フェリーは11時20分の次は13時20分で、乗り遅れると待つことになるので悩みます。受付のおじさんに見学にどのくらいの時間が掛かるか尋ねると、40分ほどということでした。Aさんは悩んでいましたが、次に来たときにしましょう。」ということになりました。さらに島の北側に下りるルートについて、話が聞けました。地図にある道は旧道で、新しく私が作ったという道を教えてもらいました。「ロープは張ってあるけど、慣れてない人には勧めていない。あなた達は慣れてそうだから。」と入口まで案内してくれました。確かに最初は急で滑りやすいところもあり、ロープがありがたかったです。途中、大きな棘のある木があって、鬼の金棒だと思いました。途中からよく踏まれた道になり、海岸に出ました。おじさんが作った新しい道はなじむのにまだ時間がかかるでしょうが、瀬戸内国際芸術祭のためでしょうか、全体によく整備が入っているルートでした。
海沿いのキャンプ場、海水浴場で子どもが遊ぶのを見ながら港に急ぎます。ゲストハウスやカフェもありました。11時12分、港に到着。高松港で平田さんと別れました。
その後、Aさんと私はヨコクラうどんを食べ、近くの桃太郎神社を見て、帰路につきました。
女木島は隣の男木島と夫婦島の関係にあり、同じフェリーが行き来しています。男木島は20年ほど前に出た『バトルロワイアル』という小説(数年後に映画化)の舞台のモデルとされています。小説では沖木島という女木島・男木島と並ぶ架空の島になっているものの、沖木島の描写は男木島に似ているようです。香川県であることは作品中にはっきり示されています。小説の内容は、国から無作為に選ばれた中学生のクラスが修学旅行中に眠らされて離島に連れていかれ、クラスメイト同士で最後の一人になるまで殺し合いをさせられるというもので、当時の問題作でした。ただ、読んでみるとおもしろくて、友人にこういう本読んでいると言うと「趣味悪い」と言われました。で、その友人に見せてみると、やめられないとまらない状態になっていました。男木島の登山道は荒れているようですが、次の課題が見つかりました。